ノア動物病院 院長の林です。
もし、自分の子が将来、動物病院で働きたい!と言った時、
親だったらこんな道に進んでほしい理想的な将来を考えてみました。
獣医大入学
大学に受かりました!!!おめでと〜
一般の大学では、これでとりあえず薔薇色の学生生活。
就活まで結構な自由時間があるので遊ぶぞ〜という感じですかね?
ところが獣医学部は違います。
相当量の、勉強、実習が低学年からあり、遊ぶ暇はあまりありません。
出席も定期試験も厳しく、バイト、部活を勉強の合間でやらなければなりません。
一般的によく言われることですが、部活とバイトは学生時代とても大切な時間です。
部活やりましょう
ここからは入学から卒業までの生活を想定してみましょう。
部活は体育会系をお勧めします。
獣医学部の体育会は一般の大学と比べると比較的緩いので(とは言っても厳しい)上下関係を学ぶ絶好の機会です。
理不尽なことがあるかも知れませんが、それは体育会系の特徴です。(笑 偏見かな?)
しかし、社会に出たら絶対に役立ちます。
反面教師にもなるし、社会構造の縮図でもあります。
それ以外でも同級生以外の付き合いを学ぶいい機会ですし、人脈を増やすチャンスです。
大学1年から4年くらいまでは部活に勤しみましょう。
同級の友人、先輩、後輩が今後の財産にもなるはずです。
バイトもしましょう
バイトは社会と接する絶好の機会です。
社会とはどういうものかを知れる機会です。
個人的には就職したら絶対にやらないであろう、職種がお勧めです。
家庭教師は頭脳労働なのでいつでもできますが、
接客、肉体労働など社会に出たら経験しないバイトを学生時代に最低でも2〜3業種は体験しましょう。
と言っても仕事ですので、社会のルールを尊守し、真面目に仕事をしましょうね。
個人的にはディズニーランドのキャストが短期であれば良い機会だと思ってます。
ちなみに私は都内のマンホールの中で仕事をしたことがあります。
水漏れを防ぐ土木作業でしたが、マンホールの中で仕事をしたことのある開業獣医師はそうそういないでしょう(笑)
バイトも大学1年から4年まで頑張りましょう。
研究室によっては6年の春くらいまでは可能かも知れませんが、
6年時には卒論や国家試験がありますので、その準備も大切です。
あくまでも学業優先ですので自分のキャパに合わせた生活を送りましょう。
就活の一環としての実習
同時に高学年になったら就活もしなければなりません。
動物病院で働きたいけど、どんな動物病院が良いかわからないですよね。
そこで実習も必須です、
実習とは単位のためではなく、就活のためのものです。
ここで重要なことは40歳でどんな獣医師になっているか?の未来像です。
そんなのわからないよ、というかも知れませんが、本当に本当に大切なことです。
明確な目標に向かって、戦略を考え、戦術を実行するのです。
勤務医、開業医、専門医など将来の目標があればそこから逆算しましょう。
「勤務医になりたい人」を例に考える
例えば、専門医の資格をとった勤務医になりたい、としたとします。
30歳くらいで専門の勉強を始めます。
それまでは広く浅く臨床を経験しましょう。
すると最初の就職先は、いろんな経験ができるところ。
時々最初から専門病院に行く人がいますがお勧めできません。
まず最初の5−6年はジェネラリストとして一人前になれる病院で働き、そこから専門を目指しましょう。
つまり、症例数が多く、内科から外科まで広く経験できる病院、診断機器にCTやMRIがあれば完璧です。
遠回りに感じるかも知れませんが結果として、それが1番の近道になります。
こう考えると首都圏よりも地方の動物病院に行くのが良いでしょう。
首都圏でCTやMRIがある個人病院はそうそうありませんから。
また、いきなり自分の地元に帰る人がいますがこちらもあまりお勧めしません。
なぜならそこが最終勤務地なら良いのですがやはり広い知見を得るなら、地元でないところで経験すべきです。
以上のことを併せて考えて実習先も決めましょう。
高学年になるとやることがたくさんあって、実習の時間もままならないと思いますが
低学年で実習に行ったとしても雰囲気くらいしかわからないでしょうから4年くらいから実習先を考えておきましょう。
十数ヶ所の病院に行く学生もいますが、あまりたくさんだと選べなくなってしまいますので2-3件を厳選するのが良いと思います。
臨床医
さて、そんなこんなで無事国家試験も合格し、晴れて獣医師になれたとします。
就職先は、地方の比較的症例が多く(獣医師一人当たり、20-30件くらいが適切)、
大抵の疾患はその病院で解決できる動物病院です。
このような病院は避妊去勢手術も多いので、3年いれば結構な手術数の経験ができているでしょう。
手術は何症例見ても上手くならないし、コツも掴めません。
やはり経験することが大切です。
また、新卒ですぐに大学病院、専門病院、海外の大学に行くのもあまりお勧めしません。
なぜならば、臨床未経験では、見ること聞くことの全てが新鮮ですが、自分のできてることやできてないこと、わかってることやわかってないこと自体が、自分自身で判断できないからです。
それならば、とにかく3年間頑張って一般臨床をし、得手不得手を自分で理解しましょう。
ちなみに、この時現役で合格しているなら、年齢は27歳です。
臨床3年終わる頃ならその病院のかなりの戦力になっているでしょう。
もし、能力的にまだまだ足りないと思うのであればもう1-2年いても良いかもしれません。
コロナ前は地方の動物病院では学会や勉強会に出る機会が少なかったりしたのですが、
今はオンラインで講習や学会が受けられるので、やる気さえあればかなり勉強できます。
今後はリアルとオンラインのハイブリット型が学会のスタンダードになるでしょう。
専門医
最も大切なのはこの先です。
将来専門医になると決めたなら、日本を飛び出すのがお勧めです。
もちろんそれまでに並行して英会話の勉強しておくことは必須です。
もしかしたらその頃には今よりもっと高性能の同時通訳並みの翻訳機が開発されているかも知れませんが。
海外の大学、これもアメリカ、オーストラリア、イギリスなど英語圏の大学でレジデントになるか?日本で大学に行くか?専門病院に行くか?が悩みどころです。
勉強が好きで、資金に余裕があるなら、海外一択です!笑
勉強がめちゃめちゃ好きなわけでなければ大学病院での専科もいいでしょう。
この期間が3-5年になりますので、30-33歳です。
予定通りの人生設計です! 笑
では、どのような専門医が良いのか?
もちろん興味のある分野で良いのですが、これからを考えるならば脳神経外科がいいかな?
今の時点でまだまだやってる人は少ないし、未知の部分があるからです。
今を考えるのではなく、未来を考え、自分の興味とすり合わせて専門分野を考えても良いでしょう。
動物医療(だけではありませんが)はどんどんと進化し、高度になり、飼い主も求めています。
獣医師として
もちろん、ジェネラリストとしてやっていく道もあります。
ただし、最近の若い先生の声を聞くと大変な割に実入が少ないという声が多いようです。
獣医師の醍醐味は飼い主対応と動物治療の両建てですので、お金だけに興味がある獣医師になってほしくないです。
飼い主がどんな人で、何を求めているかを常に考えられる獣医師であれば、どんな職場でも成功するでしょう。
ここまで来たら、スキルも自信も身についている頃ですので、開業、雇われ院長、大学での教員の道などなどがひらけます。
自分の子供だったら、この先は親の病院に戻って、跡を継いでほしいですね。
さあ、あなただったらどんな道を目指しますか?
以上のことをよく考え、臨床の道に進んでください。